【腸–皮膚相関シリーズ①】肌荒れの原因は“腸”だった?美肌と腸内環境の意外な関係

こんにちは!「美腸通信」を運営している皮膚科医あーりんです🌸

「肌荒れは、スキンケアだけでは治らない。」

最近そう感じたことはありませんか?

乾燥、ニキビ、赤み、吹き出物……。
肌トラブルがなかなか改善しない人の中には、「腸」が原因になっているケースがあります。


今回から、皮膚科医の私あーりんが、夫の消化器内科医パパ先生と一緒に、最近の医学研究を元にして「腸-皮膚相関(ガット・スキン・アクシス;gut-skin axis)」について複数回にかけてわかりやすく解説していきます!


目次

腸-皮膚相関(ガット・スキン・アクシス)とは?

「腸と皮膚は密接につながっており、腸内環境の乱れが肌トラブルを引き起こす」¹

最近の研究で、腸内の細菌バランス(マイクロバイオーム)が肌の状態に大きく影響していることがわかってきました。

皮膚と腸は、免疫・神経・代謝といったネットワークを介して情報をやりとりしている、いわば「見えない会話の通路」。この通路がうまく機能していれば、腸内環境が整い、肌にも良い影響を与えます。逆に腸が乱れると、肌にも炎症やバリア障害が現れやすくなるのです。


腸内環境が肌に与える3つの影響

① 免疫系の調整

「腸内細菌が免疫細胞(TregやTh17)をコントロールし、肌の炎症を左右する」¹

肌荒れやアトピーなどの皮膚炎は、免疫バランスの乱れが原因。腸内細菌がこの免疫系に働きかけることで、皮膚の炎症反応を抑えたり、逆に悪化させたりするのです。


② 腸のバリア機能とリーキーガット

「腸の粘膜が壊れると、毒素(LPS)が血流に入り、肌にも炎症が波及する」²

これは「リーキーガット症候群」とも呼ばれ、最近注目されている病態です。皮膚にもニキビやアトピー、乾癬などが現れやすくなります。


③ 善玉菌の代謝産物(短鎖脂肪酸:SCFA)

「善玉菌が生み出す“酪酸”などの成分は、肌のバリア機能を高め、炎症を抑える」¹

特に酪酸(butyrate)は、皮膚の角化細胞の再生や抗炎症に関わっており、腸活で美肌をめざすなら欠かせない存在です。


腸-皮膚相関と関連する主な疾患

トラブル腸内環境との関係
ニキビ(尋常性ざ瘡)腸内の炎症性細菌や便秘、ホルモンバランスの乱れ
アトピー性皮膚炎善玉菌の減少、腸管透過性の上昇
乾癬Th17細胞の活性化と腸内の菌バランス異常
酒さ小腸内細菌異常増殖(SIBO)との関連が指摘

美肌のために「腸活」でできること

以下のような生活習慣が、腸内環境を整えるのに有効とされています。

  • 発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)を日常に取り入れる
  • 食物繊維(ごぼう、きのこ、海藻類)を意識して摂る
  • 十分な睡眠とストレスケア(セロトニンと腸の関係)
  • プチ断食や夜間断食で腸を休める
  • プロバイオティクス・プレバイオティクスの活用

パパ先生(消化器内科医)からひとこと:

以前から“腸−脳相関”という概念がありましたが、“腸−皮膚相関”というのは比較的新しい概念です。腸は“第二の脳”であり、同時に“肌の健康の源”でもあります。腸内フローラの乱れが肌の炎症に波及するというメカニズムは、現在の消化器・皮膚科学の共通認識になりつつあります。


「スキンケアは“外”から、腸活は“内”から。両方のケアで肌は生まれ変わる」

簡単なことから「腸活」はじめてみませんか?


参考文献:
Salem I, et al. Front Microbiol. 2018. PMID: 30042740
O’Neill CA, et al. BioEssays. 2021. PMID: 33670115


次回予告

次回は、「アトピー性皮膚炎と腸内環境との関係」について解説します。疾患をお持ちの方だけでなく、お子さんのアトピーに悩んでいる方も必見です!


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