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「腸–皮膚相関」ってなに?「腸活」ってなにするの?

こんにちは!ブログ主の皮膚科医あーりんです🌸

ニキビ、赤み、吹き出物……。

「スキンケアを頑張っても、全然治らない!」ってこと、ありますよね?

なかなか改善しない肌トラブルの中には、「腸」がひとつの原因になっているものがあります。

今回から、皮膚科医の私あーりんが、夫の消化器内科医パパ先生と一緒に、最近の医学研究を元にして「腸-皮膚相関」という考え方について解説します!

※以下の解説は、2025年3月に公開された最新のレビュー論文(参考文献参照)を参考にしています。

この記事でわかること
  • 「腸–皮膚相関」とは何か
  • 「腸–皮膚相関」のメカニズム
  • 「腸–皮膚相関」と関係する皮膚疾患
  •  日常に取り入れやすい「腸活」の例
目次

腸-皮膚相関ってなに?

みなさん、「腸–皮膚相関(ガット・スキン・アクシス;gut-skin axis)」って聞いたことはありますか?

じつは 腸とお肌は双方向でつながっている と言われているんです。

腸内環境が乱れると肌荒れにつながる…というのはイメージしやすいですよね🍀

でもそれだけじゃなく、皮膚の炎症や紫外線などが腸に影響することもあるんです!

腸–皮膚相関の仕組みって?

腸と皮膚のつながりには、いくつかのルート(経路)があると考えられています。

それぞれのルートがどうやって「腸からお肌へ」「お肌から腸へ」と情報をやりとりしているのか、少し詳しく見てみましょう💡

1. 微生物が生み出す代謝産物

腸内細菌は、私たちの体に役立つ物質をたくさん作ってくれています。

  • 短鎖脂肪酸(SCFAs)
    食物繊維を分解して作られる物質で、炎症を抑えたり、皮膚のバリア機能を調整したりすることが示唆されています。
  • トリプトファン代謝物
    必須アミノ酸トリプトファンを細菌が代謝して作り、免疫や炎症をコントロールしうると考えられています。

2. 免疫システムを介したルート

腸は「体最大の免疫器官」とも呼ばれています。

腸内で炎症が起きると、サイトカイン(炎症を伝えるメッセージ物質) が増え、血流にのって皮膚まで届くことがあります。

その結果、湿疹やニキビなどの皮膚炎症に影響を及ぼす可能性があります。

逆に皮膚で強い炎症が起きると、それが腸の免疫応答に跳ね返ることも報告されています。

3. 神経・ホルモンを通じたルート

腸と脳、そして皮膚は「神経」と「ホルモン」でつながっています。

強いストレスを感じると、腸内細菌バランスが崩れ、腸の炎症や皮膚のバリア低下につながることがあります。

一方で、かゆみや炎症といった皮膚症状も、自律神経やホルモンを介して腸に影響することがあるんです。

4. バリア機能の相互作用

腸と皮膚はどちらも「バリア機能」がとても大切。

腸のバリア(腸管上皮細胞)が弱まると、腸管透過性の亢進が起き、細菌や毒素が血液に流れ込みやすくなります。これが皮膚炎症を悪化させる要因になり得ます。

皮膚のバリアが壊れると、外からの刺激が強まり、体全体の炎症が高まって腸にも影響する可能性があります。

5. まとめ

腸と皮膚のつながりの正体は…

  • 微生物の代謝産物
  • 免疫のやりとり
  • 神経やホルモンの反応
  • バリア機能

といった 複数の経路が重なり合ったネットワーク なんです✨

そしてアトピーやニキビなどの皮膚疾患にも関わることが示唆されています。

腸–皮膚相関と関係が深い皮膚疾患

アトピー性皮膚炎

腸内細菌叢の乱れや腸管透過性の変化が関与しうるとする報告があります。

プロバイオティクスなどによる補助的アプローチが検討されています。

ニキビ(尋常性ざ瘡)

腸内環境の乱れや食事が炎症に影響することがあります。

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸などの代謝産物が、炎症調整に関与する可能性が示されています。

乾癬

腸内細菌叢の多様性の変化や全身炎症のプロファイルとの関連が報告されています。

腸–免疫–皮膚のネットワークが疾患の一部に関与している可能性があるんです。

酒さ

腸内環境の異常や全身炎症との関連が示唆されています。

ただし、機序の詳細はまだ研究段階です。

そのほかの疾患

自己免疫性皮膚疾患など、腸–皮膚相関の観点での探索的研究が進んでいます。


ーーこのように、今のところエビデンスは不十分ですが、 腸活を生活に取り入れることは、これら皮膚疾患の治療の補助につながるかもしれません✨

美肌のために「腸活」としてできること

腸とお肌がつながっていることが少しずつ分かってくると、「じゃあ腸にいいことって具体的に何をすればいいの?」と気になりますよね。ここでは私も行っている、日常生活で取り入れやすい腸活をご紹介します。

食物繊維と発酵食品
食物繊維は腸の動きをサポートして、便通を整えるのに役立ちます。

もち麦やきのこ、雑穀米など、毎日の食事に取り入れやすい食材がおすすめです。

また、ヨーグルトや納豆などの発酵食品も、腸内環境を整える助けになります。

あーりんの場合:
  • 朝食:豆乳ヨーグルトとオリゴ糖シロップ、シリアルを混ぜる
  • 昼食:卵かけオートミールにとろろ昆布を納豆をプラス
  • 夕食:好きなもの。野菜は多く、炭水化物は玄米を少し。

私はこれで便通がよくなり、お肌の調子も上向きになりました!

職場では「毎日食べて飽きないの?」ってよく言われますが、美味しいので飽きません笑

よかったらぜび試してみてください✨

・朝の習慣
 朝食をとると腸が動き出し、便意が起きやすくなります。毎朝食べる習慣が、排便リズムを整える助けになります。

・質の良い睡眠
 就寝“時刻そのもの”よりも、毎日ほぼ同じ時刻に寝て起きる規則性と、十分な睡眠時間を取ることが大切です。寝る前のスマホは控えめにしましょう!

・ストレス対策
 ストレスは腸のリズムを乱しやすいので、散歩やお茶などでリラックスすることが大切です。


今回は簡単に。腸活についてはまだまだ勉強中なので、これから詳しく発信していく予定です🍀

パパ先生からのひとこと

以前から“腸−脳相関”という概念はよく知られていましたが、“腸−皮膚相関” は2010年代後半から注目されだした概念です。

これに関する研究は非常に活発ですが、多くは動物実験や小規模な臨床試験にとどまっており、ヒトへの応用には慎重な姿勢が必要です。

したがって、現段階では次のような位置づけが妥当です:

・標準治療に加えて補助的に活用する
・生活習慣改善や予防目的として取り入れる

過剰なサプリメント摂取や極端な食事療法は、腸にも肌にもかえってマイナスとなる可能性がありますので注意してください。

まとめ

腸-皮膚相関って、腸とお肌が色んなルートでつながっている仕組みなんですね🍀

今までスキンケアは外側からのお手入ればかり考えていたけれど、実は内側の腸内環境も一緒にケアすることが美肌への近道かもしれません✨

毎日の食事で食物繊維や発酵食品を取り入れたり、規則正しい生活やストレス発散を心がけたり…。どれも特別なことじゃなくて、普段の生活にちょっとずつ取り入れられることばかりです。

ただ、腸-皮膚相関の研究はまだまだこれからの分野。だから「腸活すれば絶対に肌がキレイになる!」っていうわけではなく、今の治療やケアにプラスαとして考えるのがいいですね。

美肌のためには、腸の健康も一緒に考えるっていう新しい視点で、内側と外側の両方からお肌をいたわってあげましょう💡

無理しすぎず、楽しみながら続けることが一番大切。長い目で見て、健康的な毎日を過ごしていけたらいいですよね🌟

参考文献

  1. Jimenez-Sanchez M, et al. The gut-skin axis: a bi-directional, microbiota-driven relationship with therapeutic potential. Gut Microbes. 2025 . PMID: 40050613 → PubMedで見る

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あーりん
皮膚科医 & 2児のママ
日々の診療と子育ての合間に、美腸と美肌の研究をコツコツ続けています☺️
最新の医学情報を、消化器内科医の夫とともにわかりやすくやさしく解説します♪
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