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ニキビと腸内環境の関係を解説!プロバイオティクスは効果ある?

こんにちは!美容と腸活にこだわるブログ「美腸通信」へようこそ!

今回のテーマは、ニキビ(尋常性ざ瘡)です🌸

「便秘の時にニキビが悪化する」「お腹の調子が悪いと肌荒れする」そんな経験はありませんか?

皮膚科医の妻あーりんと消化器内科医の夫パパ先生が、最新研究をもとに腸とニキビの意外なつながりを分かりやすく解説します💡

📋 この記事でわかること
  • ニキビの基礎知識と標準治療
  • プロバイオティクスのニキビ改善の可能性
目次

ニキビに関する基礎知識

ニキビ(尋常性ざ瘡)の発症メカニズム

ニキビは正式には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれ、思春期から成人期にかけて多くの方が経験する慢性炎症性皮膚疾患です💡

ニキビができる4つの原因
  • 炎症反応 – 免疫システムの過剰反応
  • 皮脂腺の過剰分泌 – ホルモンの影響
  • 毛穴の詰まり(角化異常) – 古い角質の蓄積
  • アクネ菌の増殖 – 嫌気性細菌の繁殖

炎症が進行すると皮膚の深部まで影響し、ニキビ跡(瘢痕)として残る可能性があるため、早期治療が重要です✨

ニキビの標準治療

日本皮膚科学会のガイドライン(尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023)1では以下の治療が勧められています。

急性期(炎症がある赤ニキビ・膿ニキビ)

  • 外用薬(塗り薬)
    • アダパレン:毛穴の詰まりを予防
    • 過酸化ベンゾイル:殺菌作用でアクネ菌を抑制
    • クリンダマイシン:抗菌薬で炎症を軽減、他外用薬と併用で短期使用
  • 内服薬(飲み薬)
    • ドキシサイクリン:炎症抑制効果のある抗菌薬、原則3か月以内

維持期(ニキビが落ち着いた後)

  • 再発予防のため、アダパレンや過酸化ベンゾイルを継続使用します📋

ニキビのスキンケア 

日本皮膚科学会のガイドラインでは以下が推奨されています✨

  • 洗顔:1日2回、泡で優しく洗う
  • 保湿:ノンコメドジェニック製品を選択
  • 紫外線対策:日焼け止めを推奨(特にアダパレン使用時)
  • メイク:刺激の少ない化粧品を選択
「ノンコメドジェニック」って?

「ノンコメドジェニック」ってよくスキンケアやコスメで見かけますよね。これは簡単に言うと 「毛穴をふさぎにくく、ニキビ(コメド)をできにくくするように設計された製品」 のことなんです✨

化粧品や保湿剤の成分のなかには、毛穴に詰まりやすくてニキビを悪化させるものがあるのですが、ノンコメドジェニック製品はそのリスクが低いように作られているんですね✨

ただし!「絶対にニキビができない」という保証ではなく、あくまで 試験で「できにくい」と確認された レベルのものなんです。なので「ニキビ肌向けの安心感がちょっと高いアイテム」くらいのイメージで選ぶといいと思います💡

ニキビケアはとくに保湿剤選びが大事!こちらも参考にしてね👇

さて、ここまで、ニキビの治療やスキンケアについてお話してきましたが……
実は最近、皮膚科でも注目されているのが「腸内環境との関係」なんです!

最新研究が明らかにした!腸内環境とニキビの関係

腸内環境の乱れがニキビを悪化させる仕組み

お腹の調子が悪いとお肌も荒れる」って感じたことありませんか?

この考え方は「腸–皮膚相関(gut–skin axis)」と呼ばれていて、近年の研究で注目されています。

詳細は別記事にまとめているので、こちらをご覧ください👇

プロバイオティクスはニキビに効果がある?

2024年スペイン研究:ランダム化比較試験の結果

2024年に報告されたスペインのランダム化比較試験2では、プロバイオティクス(善玉菌)を含むサプリメントを12週間摂取した結果、非炎症性ニキビ(白ニキビ・黒ニキビ)が有意に減少することが報告されました。

もっと詳しく知りたい方はこちら💡

この研究は「ニキビにプロバイオティクス(善玉菌のサプリ)が効くのか」を調べた多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。

【研究の設計】 複数の医療機関で実施し、参加者を無作為に2つのグループに分けました。参加者も医師も、どちらが本物のサプリかプラセボ(偽薬)かわからない状態で研究を進めました。

【参加者】 対象は12〜30歳の男女で、ニキビの重症度が「軽症〜中等症以上」の人たち。全部で約80人が参加し、コンピューターによる無作為割り付けでサプリ群とプラセボ群に分けられました。

【介入内容】 使ったサプリには、Lacticaseibacillus rhamnosus(乳酸菌の一種)とスピルリナ(藻の一種)由来の成分が入っていて、菌の数は1日あたり10億個(1×10^9 CFU)。これを12週間、毎日飲み続けてもらいました。プラセボ群には見た目・味・匂いが全く同じだが有効成分を含まない偽薬を同じ期間服用してもらいました。

**参加者も担当医師も、どちらを服用しているかを知らない「二重盲検」**で実施し、全員、普段のニキビ治療は続けてもらいました。

【評価方法】 効果のチェックには2つの客観的な方法を使いました。

  • AGSS:ニキビの重症度を「段階」で評価(例:中等症→軽症)
  • GAGS:顔や体のニキビの数を点数化して評価

【結果】 12週間後、AGSSで「1段階以上改善」した人は、サプリ群で50%、プラセボ群で29.4%と統計学的に有意に多くなっていました。GAGSでも「30%以上良くなった人」がサプリ群42.5%、プラセボ群20.6%で明確な差が出ました。

細かく見ると、**白ニキビや黒ニキビ(非炎症性病変)**はサプリ群で有意に減りましたが、赤ニキビ(炎症性病変)は差が出ませんでした。全体のニキビ数は「やや少ない傾向」まででした。

【安全性】 胃腸の軽い不調などがありましたが、重い副作用はなし。

この科学的に信頼性の高い研究デザインの結果から、プロバイオティクスは標準治療に加えられる新しい選択肢になり得ると考えられます📚

2025年統合研究:15件の臨床研究を分析

2025年の俯瞰型研究(スコーピングレビュー)3では、2009〜2024年に行われた15件の臨床研究(計811人が対象)が分析され、以下の結果が報告されました。

使用された主な菌株

  • 乳酸菌(Lactobacillus属)
  • ビフィズス菌(Bifidobacterium属)

確認された効果

  1. 軽度〜中等度ニキビの改善
  2. 皮膚バリア機能の向上
    • 経表皮水分蒸散量(TEWL)の減少
    • セラミド(保湿成分)の増加
  3. 一部製剤では過酸化ベンゾイルと同等の効果

菌種・用量・期間は未確立で、いまのところ標準治療の代わりにはなりません。

これらについてさらなる研究が必要ですが、この論文の結果からも、「プロバイオティクスは標準治療の補助的アプローチとして有望」と考えられます。

腸活による新しいニキビ改善へのアプローチ

最新の日本のガイドラインにはプロバイオティクスについての推奨・記載はありません。

ただし、最近の研究結果を踏まえると、将来的にガイドラインで取り上げられる可能性は高いと考えています✨

腸内環境の改善を目指す「腸活」を、標準治療のサポートとして取り入れてみてはいかがでしょうか?

腸活についてはこちら👇

パパ先生からひとこと

こんにちは。消化器内科のパパ先生です。

腸活がニキビの予防や改善に役立つ可能性はありますが、これだけで全てを解決することは難しいです。

皮膚科での標準治療をベースに、補助的に日常生活に取り入れるのが現実的です。

プロバイオティクスやプレバイオティクスを取り入れる際も、信頼性のある製品を選びましょう。

まとめ

  •  ニキビは4つの因子が関わる慢性炎症性疾患 
  •  腸内環境の乱れが全身炎症を引き起こし、皮膚にも影響する
  •  プロバイオティクスによるニキビ改善効果が複数研究で確認された
  •  腸活は新しいニキビケアアプローチとして期待される

腸と肌の健康は想像以上に密接につながっています💡

従来のスキンケアに加えて、腸内環境を整える「腸活」も、美肌づくりの新しいアプローチとして取り入れてみませんか?

参考文献

  1. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. 日本皮膚科学会 →全文を読む ↩︎
  2. Eguren C, et al. Acta Derm Venereol. 2024. PMID: 38751177 →PubMedで見る ↩︎
  3. Sutema IAMP, et al. J Exp Pharmacol. 2025. PMID: 39810881 →PubMedで見る ↩︎

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あーりん
皮膚科医 & 2児のママ
日々の診療と子育ての合間に、美腸と美肌の研究をコツコツ続けています☺️
最新の医学情報を、消化器内科医の夫とともにわかりやすくやさしく解説します♪
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