
こんにちは!皮膚科医ママのあーりんです🌸
今回のテーマはニキビです!
ニキビって、口コミやSNSで「これが効く!」という話を聞いたり、真逆の情報を見かけたりして、何を信じればいいのか迷ってしまいますよね😣💭
今回は、皮膚科医ママの私が、日本皮膚科学会JDAのガイドライン[1](以下、日本ガイドライン)と米国皮膚科学会 AADのガイドライン(以下、米国ガイドライン)[2](以下、米国ガイドライン)をもとに、よくある「ニキビの誤解」を徹底解説します🌱
ニキビの標準治療についてはこちら👇
日米のニキビガイドラインについてはこちら👇
1. 自然に治るから放置でOK
🙅♀️ これは危険な思い込み!
日本ガイドラインでは、瘢痕(クレーター)や色素沈着を予防するために「早期からの適切な治療開始」を推奨しています。
米国ガイドラインも同様に、軽症でも長引く場合や瘢痕リスクがある場合は積極的な治療をすすめています。
一度できてしまった瘢痕は治すのがとても難しく、美容医療が必要になることもあります。お金も時間もかかるので、気になるニキビは「そのままにせず、早めの受診と治療」を心がけましょう🌸
2. 潰せば早く治る
🙅♀️ 逆にひどくなる可能性があります。
日本ガイドラインでは面皰(コメド)圧出は医療者が行う施術としては「選択肢の一つとして推奨する」とされていますが、自己圧出を推奨する記載はありません。
米国ガイドラインでも、病変圧出(acne lesion extraction)は推奨するにはエビデンス不十分とされています。自己処置を容認する記載はありません。
自己流で潰すと皮膚バリアが破壊され、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などが深部に入り込み炎症が悪化する可能性があります。結果として色素沈着や瘢痕が残るリスクが高まるので、潰すのはお勧めできません。
3. 甘いもの・チョコ・脂っこい食事・乳製品でニキビができる
🤔「必ずそうなるわけではありませんが、まったく無関係でもありません。」
日本ガイドラインでは、低GI食(血糖値の上がりにくい食事)が有効とする研究や、乳製品・ホエイが悪化に関与する可能性を示す報告はあるものの、「一律の食事制限を勧めるほどの根拠はない」とされています。
米国のガイドラインでも同様に、高GI食品や乳製品に関する研究結果はばらつきがあり、「推奨を作るには証拠が不十分」と結論づけています。そのため「全員が控えるべき」とはされていません。
高GI食品や乳製品は、ホルモン(IGF-1やアンドロゲン)を介して皮脂分泌を増やす可能性があると考えられていますが、影響の度合いは人それぞれ。極端に制限する必要はなく、自分の肌の様子を見ながら調整するのが現実的です。
4. 顔をゴシゴシ洗えば治る
🙅♀️ 逆効果になることが多いです。
日本ガイドラインでは「1日2回までの洗顔を推奨」し、それ以上は皮膚の乾燥や刺激を助長すると述べています。
米国ガイドラインでは洗顔頻度の数値は示されていませんが、やさしい洗顔を推奨し、過剰な摩擦や過度な洗顔は避けるべきとされています。
強い摩擦は角層を傷つけバリア機能を低下させ、かえって炎症が悪化します。特にスクラブ入りや強力なクレンジングの多用は要注意。
5. 化粧や日焼け止めはやめるべき
🙅♀️ やめる必要はありません。
日本ガイドラインでは低刺激性・ノンコメドジェニック化粧品の使用は選択肢として推奨され、女性では化粧指導がQOL向上に有用とされています。
米国ガイドラインでは日焼け止めの“一般的な推奨”には触れていませんが、レチノイド治療時の光線過敏対策として使用が推奨されています。
紫外線は炎症後色素沈着を悪化させるため、日焼け止めはむしろ積極的に使用すべきです。
6. 保湿していれば治る
🙅♀️ 保湿は大切ですが、主役ではありません。
日本ガイドラインは、保湿剤は肌バリアの改善や薬の刺激緩和に有用だが、単独で治療効果を期待するものではないとしています。
米国ガイドラインも同様に、保湿は補助療法と位置づけ、特に乾燥を伴う外用薬(BPO・レチノイド)と併用することを推奨しています。
保湿で肌の土台を整えつつ、主要な治療薬で原因にアプローチするのが基本ですね🌸
7. ビタミンCを塗る・飲めば治る
🤔 一般的にはお肌にいいとされていますが、ニキビ治療に対しては推奨されていません。
日本ガイドラインでは、内服・外用ともに「十分な根拠がないので推奨しない」とされています。
米国ガイドラインでもエビデンスが不十分とされ、推奨治療には含まれていません。
ビタミンC誘導体の外用は、皮脂抑制や色素沈着改善により、炎症後の赤みやシミの改善に可能性が示されています。ただし、炎症性ニキビの第一選択薬(BPO・レチノイドなど)を置き換えるほどのエビデンスはありません。
8. オーガニックや自然派化粧品なら安全
🙅♀️「天然=安全」ではありません。
日本ガイドラインは、化粧品の安全性を判断する基準として「低刺激性」「ノンコメドジェニック性」を重視しており、成分が天然由来かどうかは推奨基準には含まれていません。植物エキスでもアレルギーや刺激を起こすことは珍しくありません。
米国ガイドラインも同様で、「オーガニック」「ナチュラル」というラベルは毛穴詰まりや刺激性の低さを保証しないとしています。
大事なのは「テスト済み」「ノンコメドジェニック」「アレルギーテスト済み」といったエビデンスに基づく安全性試験の有無です。天然成分でも化学合成成分でも、安全性は配合量や製品設計で決まります。
9. 皮膚科の治療だけしていればいい
🙅♀️ 治療と生活習慣の両輪が大切です。
日本ガイドラインは、薬物療法とともに生活指導(適切な洗顔、低刺激化粧品の使用、紫外線対策など)を行うことを明記しています。
米国ガイドラインも、治療効果と再発予防のためにはスキンケアや生活習慣の改善を組み合わせることを強く推奨しています。
薬だけに頼っても、睡眠不足・ストレス・高GI食などが続けば再発しやすくなります。特にストレスはホルモン変動を介してニキビを悪化させることが知られています。腸内環境との関連は補助的視点で研究が進んでいますが、ガイドラインでは直接の推奨事項には含まれていません。
10. 処方薬は急性炎症期だけ使うもの
🙅♀️ 維持療法を行わないと再発しやすくなります!
日本ガイドラインでは、外用レチノイドやBPOは「炎症があるときだけ」ではなく、炎症軽快後も再発予防のために継続することが推奨されています。炎症が治まっても毛穴の詰まりや再発リスクは残るため、途中でやめるとぶり返しやすいんです😣。
米国ガイドラインでも外用薬は初期治療だけでなく維持療法にも使うことが推奨されています。特に外用レチノイドは、炎症が落ち着いた後の寛解維持に有用と明記されています。さらにBPOについては、耐性菌の報告がないため安心して長期使用でき、抗菌薬を使う際には必ずBPOを併用して耐性化を防ぐことが推奨されています。
どの薬をどれくらい続けるかは人によって違うので、自己判断で中止せず、必ず主治医と相談しながら“自分に合った維持プラン”を立てていきましょう🍀
パパ先生からのひとこと



こんにちは、消化器内科医のパパ先生です。
今回は皮膚科が専門ではありませんが、大切なポイントをひとつお伝えしますね。
「ガイドラインで推奨されていない治療=効果がない」という意味ではありません。単に“科学的に有効性が証明されていない”というだけで、人によっては効果を感じる場合もあります。
逆に、推奨されている治療であっても、すべての人に必ず効くわけではありません。まずはガイドラインに基づいた治療をしっかりと行い、それで十分な効果が得られないときには、主治医と相談しながら他の治療法を検討していくのが安心です。
まとめ


「標準治療をしっかり行いつつ、生活習慣とスキンケアで肌を整える」──これがニキビを改善し、美しい肌を守るための最も確かな道筋です。色々な情報に振り回されず、正しいケアを続けていきましょう🌱✨