
こんにちは!「皮膚科医ママのあーりんです🌸
今回はQ&A形式でみなさんの疑問を解消します!
今回は、ちょっと人には聞きづらいけど…やっぱり気になる!
そんな「便秘にまつわる疑問」を10個、私なりにまとめてみました😊
実は私も便秘持ちなので、ずっと気になっていたテーマのひとつなんです。
でも腸のことは専門外なので、今回は頼れる存在——わが家の消化器内科医・パパ先生に、じっくり教えてもらいました✨
もっと早く知りたかった!「便秘にまつわる10のギモン」



こんにちは。消化器内科医の「パパ先生」です。
今回は、ふだん私がよくいただくご質問をQ&A形式でまとめました。
国内の最新のガイドライン[1]をベースに私見を交え、できるだけわかりやすく説明していきますね。
Q1. 毎日便が出ない!これって便秘?
A. 「何日出なければ便秘」という明確な基準はありません。
大事なのは、出ないことで本人がつらさや不快感を感じているかどうかです。
便秘の診断目安は、“週3回未満の排便や、硬い便・強い怒責(いきみ)・残便感が数か月続く場合”とされています[1]
Q2. 病院に行ったらどんな検査をするの?
A. まずは問診とお腹の診察から始まります。必要に応じて:
- 血液検査(ホルモン異常などの確認)
- 便潜血検査(大腸がんスクリーニング)
- 腹部X線(腸閉塞の除外)
- 大腸内視鏡(がんなどによる狭窄の確認)
パパ先生からの補足:
腹部X線はガスや便の量の評価までは難しく、また本当に腸閉塞が疑われる症状が場合、真っ先にCTに行くケースが多いので、実際にはあまり行われません。
便潜血、大腸内視鏡の必要性については、詳細は後述しますが若い方に必要となることはほとんどありません。
ですので、若い方は詳しく問診すれば血液検査くらいで十分であることが多いです。
Q3. 症状は便秘だけだけど、「悪い病気かも」と心配…
A. そう考えることは自然ですが、心配しすぎないでください。
一般にいう「悪い病気」とは、潰瘍性大腸炎などの難病や、がんのように命にかかわる悪性の腫瘍を指しているものと思われます。
通常、難病指定されるような疾患では便秘のみが症状である場合は少ないですし、仮にそうであっても大がかりな治療を急ぐことはそうありません。
大腸に発生する悪性腫瘍には大腸がん、悪性リンパ腫、神経内分泌などが挙げられますが、大半が大腸がんです。
以下は2021年の大腸がんの罹患(新たにその病気と診断された)データです[2]。
年齢層 | 罹患数(人) | 割合(%) |
---|---|---|
全年齢 | 154585 | 100.00 |
10-19歳 | 29 | 0.02 |
20-29歳 | 243 | 0.16 |
30-39歳 | 1429 | 0.92 |
40-49歳 | 6188 | 4.00 |
この表にあるように、40歳未満であれば全体の1%であり、とくに20代では非常にまれと言って良いレベルです。もちろん可能性がゼロではありませんが、大きな心配をする必要はないでしょう。
Q4. 大腸内視鏡検査を勧められた!受けないとだめ?
A. 検査の理由にもよりますが、「勧められたら受けなければならない」ということはありません。
ただし診断に必須な場合もありますので、主治医と十分相談したうえで、検査を受けられるか決めてください。
とくに50歳以上で便秘が急に悪化した場合や警告症状*がある場合は大腸がんの除外のために強く推奨されます[1]。
もし受けられる場合は、鎮静下で眠っている間に検査できる施設も多いので、不安な方は相談してください。
- 排便習慣の急激な変化
- 血便
- 6ヶ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少
- 発熱
- 関節痛
- 異常な身体所見(腹部腫瘤の触知、腹部の波動、直腸指診による腫瘤の触知、血液の付着など)
パパ先生からの補足:
Q3でもお伝えしたように、40歳未満で悪性腫瘍が見つかる可能性は非常に低いです。便潜血検査は本来、がん検診を目的に行うものなので、この年代では検査の意義はあまり大きくありません。とはいえ、他科の先生から「便潜血検査が陽性だから大腸内視鏡を受けた方がいい」と勧められ、消化器内科に紹介されるケースもあります。
特に若い女性の場合、内視鏡検査の苦痛だけでなく「恥ずかしい」という気持ちも少なからず伴います。そのため私は、検査を行うかどうかを患者さんと十分に相談したうえで決めるようにしており、必要性が低い場合には見送ることもあります。
Q5. 下剤を続けてたら効かなくなる?
A. 薬の成分によります。
“刺激性下剤(センナ・ピコスルファートなど)は長期連用で耐性や習慣性のリスクがあるため、頓用や短期使用が推奨”されています[1]。
一方、ルビプロストンやリナクロチドなどの新しい薬は、腸の働きを調整する作用で習慣性が少ないと考えられています。
Q6. 市販薬と処方薬の違いは?
A. 実は処方薬と同じ成分の下剤が、市販薬として販売されています。例えば、
- ピコスルファート、センノシド → 第2類医薬品
- 酸化マグネシウム → 第3類医薬品
成分は同じでも市販薬の成分量は処方薬より少ないため、そのぶん効果にも差が出ます。だからといって自己判断で増やしてはいけません。必ずラベルに記載された用法・用量を守り、それで効果が不十分な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
Q7. 普段の生活習慣に何に気をつけたらいい?
ガイドラインでは、以下のような生活習慣の改善や食事療法が便秘の改善に有効とされています。
・発酵性食物繊維
特に「グアーガム分解物(PHGG)」は日本で多くの使用報告があり、排便回数を有意に増やすとされています。
ほかキウイフルーツ、プルーン、サイリウム(オオバコ)も便秘への有効性が示されています。
・食物繊維
必ずしも摂取量と便秘が相関するわけではなく、不足している人にとっては有効とされています。
・水分摂取・運動
十分な水分補給や運動、腹部マッサージなども有効性が示唆されています。
Q8. 朝のトイレ習慣って大事なの?
A. はい、とても大事です。
食事摂取によって胃が伸展すると、大腸の動きが活発になる“胃結腸反射”が起こります。この反射は朝の時間帯および食後に起こりやすいとされ、それを利用して朝にトイレに行く習慣が便秘改善に役立つと考えられています[3]。
パパ先生からの補足:
反対に、満員電車や会議で便意を我慢するクセがある人は、だんだん便意を感じにくくなって、便秘につながると考えられています。
「出したくなったらできるだけ我慢しない」――これも大事な腸のケアですよ。
Q9. プロバイオティクスって便秘に効くの?
A. プロバイオティクスとは、“適切に摂取すると健康に有益な作用を示す生きた微生物”(例:乳酸菌、ビフィズス菌)のことです。
一部のプロバイオティクスは便秘改善に役立ちますが、菌の種類によります。(以下はガイドライン[1]より抜粋)
代表的な菌株として知られる Lactobacillus casei Shirota や、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium animalis、Lactobacillus reuteri は、 排便回数が増える・お腹の張りがやわらぐ といった効果が報告されています。
一方で同じビフィズス菌でも別の菌種では効果が見られなかったという報告もあります。
複数のメタアナリシス(研究をまとめた解析)で、プロバイオティクスは 安全に使えて、排便を増やし、腹部症状を改善し、腸の動きを助けるとされています。
Q10. サプリやハーブティーって効果あるの?
A. 軽度の便秘に役立つこともありますが、科学的根拠は限定的であり、ガイドラインには「サプリメント」や「ハーブティー」についての直接的な記載はありません。
センナのような刺激性下剤の成分を含む製品もあるため、できるだけ成分を確認し、長期連用は避けましょう。
まとめ
- まずは生活習慣を見直しましょう!
- サプリや市販薬は、成分を確認して、補助的に使うのが◎
- 効果不十分なら、無理せず医師へ相談を!